2011年夏のご挨拶 

 9月からつくばインターナショナルスクールの新しい学期が始まるのを前に、一言ご挨拶申しあげます。

 3月18日に夫加納正康が急逝してから、早いものですでに5ヶ月がたちました。亡き夫がこの地に木造二階建てログハウス風の新校舎を建て、学校法人TSUKUBA GLOBAL ACADEMYとして茨城県知事より認可され、新しいTsukuba International School(TIS)が始まってから、2年と4ヶ月になります。夫の急逝を受け、3月末に開催された臨時理事会において、私が法人理事長を、シェイニー・クロフォード女史がTIS校長を引き継ぐことが議決されました。5月には正式の理事会および評議員会が開催され、当面の運営について対応策が図られました。今日まで、いろいろな困難に直面いたしましたが、多くの皆様に支えられて2010-2011年度を終えることができましたことをご報告いたします。

 昨年9月に中学1年生と2年生の中等教育部を設置し、今年3月の時点で、小学1年生から6年生までの生徒を合わせると、16カ国からの生徒65名(両親とも外国籍の生徒が約3割、両親のどちらが外国籍の生徒が約3割、両親とも日本国籍の生徒が約4割)が在籍しておりました。就学前のTsukuba International Preschool(TIP)の生徒も合わせると80名余りとなり、TISの前途に明るい光が見えてきた矢先、3月11日に東日本大震災に見舞われました。続いて発生した福島第一原子力発電所の事故の影響も重なって、東日本の多くの地域から外国人が続々と帰国する事態が起こりました。TISでも、外国籍の生徒とその家族が次々と国外に退去していきました。そんな状況の中で、亡き夫は筑波研究学園都市の将来やTISの行く末を大変憂慮しておりました。そして震災から1週間後、夫がくも膜下出血で突然倒れ、帰らぬ人となったことで、TISの生徒やその家族、そして支援者の皆様にも大変なショックとご心配をおかけすることになりました。

 すべてが突然のできごとであり、一時は生徒数もかなり落ち込み、TISの前途が危ぶまれました。しかしながら、シェイニー新校長をはじめ、アメリカ、カナダ、オーストラリアの母国で教職免許を取得した優秀な先生方と日本語担当の先生、そして事務スタッフおよび芸術・体育等の非常勤講師の方々による献身的な指導の下で、残った子どもたちは次第に元気を取り戻して勉強を続け、6月末に無事に2010-2011年度を終了することができました。この間、学校法人の理事、評議員の皆様から弛まぬご支援・ご助言をいただき、特に茗渓学園の高島渉先生および茗渓学園卒業生の石井治美さん、橋本哲さんにはボランティアでTISの運営を手伝うというワーキング・グループを結成していただきました。そのほかにも、茨城県やつくば市の関係の皆様、近隣の皆様から多くのご支援をいただくことができました。このような皆様からのご支援、ご協力なくしては、ここまで来ることはできませんでした。心から御礼申し上げます。

 さて、震災から半年近くを経て、TISをめぐる状況は大きく改善されています。ウェブ・サイトにも報告されておりますように、夏休みに入ってから、7月11日〜15日に英語によるサマー・プログラムが行われ、9名の参加者がありました。また、7月25日〜8月5日に開催されたサマー・キャンプでは、前半の週に17名、後半の週には28名もの参加があり、この地でTISが果たせる新たな役割をも実感することができました。そして、2011-2012年の新学期、TISはおかげさまで72名の生徒を、そしてTIPの方も12名の子どもたちを受け入れる予定でおります。教師陣は、6月で任期満了して帰国、あるいは新天地へと移動する先生方が多かったため、シェイニー校長は大変な苦労をいたしましたが、新たに優秀な先生方をお迎えすることができ、9月から8名の専任教師と6名の非常勤教師の体制で臨むことができることとなりました。

 TISの存在価値をさらに高めるためのニュースがもう一つあります。震災の影響で延期となっておりました国際バカロレア初等教育課程(PYP)の最終認定訪問を今秋10月に受ける運びとなりました。国際バカロレアにつきましては、今年3月に公表された文部科学省の国際交流政策懇談会の最終報告書においてもその重要性が指摘されており、TISの目指してきた方向性が正しかったことに意を強くしているところです。一方で、つくば市、筑波研究学園都市を世界に開いた日本の窓として再構築しようという試みも進んでいると聞いております。TISは、新しい先生方、生徒たちとともに、ぜひともPYPの認定を受け、さらに中等教育課程(MYP)の認定をも目指して、グローバル都市としてのつくばの実現に微力ながら貢献できるように、準備を進めてまいりたいと思います。もとより、TISは、外国人の生徒たちのみの教育を考えているわけではありません。日本人のお子さんの教育も重要な責務であります。重要なことは、外国人とか日本人とかいう垣根を越えて、このグローバル化した世界、多文化共生社会を共に支えていけるような次世代を育てることだと考えます。そのためには、日本の行政、社会の慣例も見直しながら、よりよい教育制度を作り上げていく必要があるのではないでしょうか。TISの先生方も同じ思いです。実際、先生方はこの夏休みに福島の被災地でのボランティア活動をするために何度も出かけてくださっており、日本の社会にも貢献してくださっています。

 このように、TISはなんとか息を吹き返しています。しかし、実際には今年度、茨城県から教員の給与補助など、格別の支援をいただいていることも事実です。TISが自力で立って行くには、まだまだ皆様からのご支援、ご協力が欠かせない状況です。健全な事業体として確立するには、さらに生徒数を増やす必要もあります。お知り合いに外国人の方、国際教育を望んでいらっしゃる方がいらっしゃいましたら、どうか広報にご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 皆様、ご多用中のところと拝察申し上げますが、どうぞ、実際のTIS、TIPと元気に学ぶ生徒たちの様子を見学にいらしてください。毎月1回はスクールツアーを開催し、実際の授業を見学していただいております。ウェブサイトhttp://www.tis.ac.jpをご覧いただき、事前にご連絡いただければ幸いです。

 今年はさらに教育内容を充実し、生徒共々、教職員一同心を合わせて、世界中で尊敬されるような人材の育成に尽力していく所存でございますので、更なるご指導・ご支援をよろしくお願い申し上げます。

学校法人TSUKUBA GLOBAL ACADEMY 理事長 
加納 千恵子

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